食品値上げ、家計に重荷 : 2021年8月13日 日経新聞朝刊

ここ数か月で食品の値上げが相次ぐというものである。数字を見ると、大幅な値上げとなる。
前日にも、トウモロコシの価格が上昇しているという記事があり、家畜飼料高騰による、食肉価格の上昇が懸念される。

商品改定時期改定幅主な理由
パスタ・パスタソース7月、9月2~8%米国の天候不順
食用油8月10~20% ※米国やカナダの天候不順
マヨネーズ7月1~10%食用油など原料の高騰
砂糖(卸値)3月、8月6%ブラジルの天候不順
レギュラーコーヒー9~10月20%ブラジルの天候不順
そば粉3月、4月10~20% ※中国で大豆などに転作
食品価格の上昇率と時期(引用: 日経新聞 2021年8月13日)

※食用油、そば粉は、それぞれ1kgあたり50円以上、70円以上。これを、筆者の実生活の価格をもとに上昇率に変換。

値上げの理由

値上げの理由は、

  1. 天候の異変による収穫量の減少(原材料価格上昇)
  2. 中国をはじめとした世界的な物品の需要増(需要の増加による価格上昇)
  3. バイオ燃料など燃料価格の高騰(環境負荷の軽減コスト)
  4. 梱包材の価格上昇(付随的なコスト増)

などが挙げられている。

経済的な価値は需要と供給で決定されるので、需要が供給を上回っているというのが、ざっくりの説明だろう。
今後、この流れ(食品価格の上昇)は続くものと予想しおり、その事実を裏付けるものだ。

方策はなかったのか?

同様の記事を調べていて、以下のような当事者のコメントがあり、私は違和感を感じた。

>「値上げするしかないが、そう簡単ではない」
> 価格転嫁は考えておらず「何とか頑張るしかない」

引用:https://www.saga-s.co.jp/articles/-/694488

これは、「我慢する」とか「耐える」という意味を含んでいる。
しかし、本気で何とかしたいと考えていたならば、実は耐えなくても、回避する方法があったのだ。
それは、先物を買っておけばよかった、ということだ。

つまり、金融商品を利用して、価格上昇をヘッジしておけば良かったのだ。

私は、長く証券会社、銀行でデリバティブと呼ばれる仕組みを使った、金融商品開発に従事してきた。昨今、金融商品の活用には、否定的な声がある。私は、生活に密接につながるものに、金融商品を活用して、多くの受益者を生み出す事には賛成だ。

例えば、大豆の価格上昇ならば、CBOT Soybeans futures(米国シカゴ商品取引所 大豆先物)へのアクセスが可能である。最近は、少額でも先物市場への投資が個人でも可能であり、日本の証券会社も個人のアクセスを可能にしている。先物は、基本的に元手が要らないので、誰でもアクセス可能と言ってもいいだろう。

それは、消費者にも言えることだ。インフレに備えるべきだが、その方法は必ずしも容易ではない。しかし、先物で少額のヘッジをする事は現実的である。

投資や投機ではなく、生活を守る為に、金融商品を活用するスキルは、今後更に必要になるかもしれない。

おカネを増やす知識以前に、生活を守る為の金融の知識が必要だと思う。

参考:
佐賀新聞 Live https://www.saga-s.co.jp/articles/-/694488
市民タイムスWeb https://www.shimintimes.co.jp/news/2021/06/post-13953.php
CME Group(日本語) https://www.cmegroup.com/ja/